Science & Knowledge Engineering

円盤型水中ビークル BOOMERAN

ここ数年(4年程)を費やしてきた、海洋観測を目的として、海中での自律動作ロボットです。

一般的に海中、水中で能動的に移動を行う手段としては、スクリユー(スラスター)、魚等を模擬した鰭など、直接的な推力を発生させます。

このロボットは、浮力と重心の移動のみで水中を移動します。もちろん、きめ細かい移動は今のところ不可能ですが、水中環境に与える影響は最小限ですみます。

動作原理は浮力縮小による潜航時に行きたい方向に重心を傾けて移動します。潜航途中で海中の環境観測を行います。着底後、浮力を大きくして浮上しますが、この時に再度重心を調整して目的の方向に移動しますが、この途中でも環境計測を行います。

細かい論理は省略しますが、浮上中に得るGPSの位置信号と方位計の自分の向きから重心移動量の計算を行い、目標とする緯度・経度に向かって進むことができます。

円盤型をしているのは、どの方向にも円滑に移動できるからです。

前置きが長くなりましたが、このプロイジェクトでは何回も冷や汗をかきました。

最初は電子機器を収納するケースについてです。水密性を保つために、真空ポンプで容器内部の気圧を下げると聞いたときです。

聞いたときは、「ふーん、そんな方法もあるのか・・・。」程度でしたが、回路設計を始めてから、「電界コンデンサって負圧でも使えたっけ?」をはじめとして他の部品は大丈夫なのか調べ始めたのですが、意外と部品の仕様に負圧の話が出てこない・・・。

抵抗やICはまず大丈夫だろうと勝手に決めて、コンデンサメーカーには念のために問い合わせました。

回答は色々・・・。メーカーのAさんは「とんでもない、破裂します!」、Bさんは「程度問題ですが、本当の真空ではないでしょうから使えると思います」、Cさんは「負圧にするとはどう言う意味ですか?」、何しろ回答は様々。まあ、仕方がないから使ってみるか、ということで、意図的に大手メーカー何社かの部品を鏤めて回路を作ってみました。結果としては杞憂におわりましたが、未だにちょっと心配です。

次は、回路の冷却です。アナログの回路は省電力=低発熱という方針で冷却の問題をクリアしましたが、デジタル部はそれなりの演算能力を必要とするため、CPUなど発熱が避けられません。ある人は、「冷却FANをつけなさい」、はてな?、負圧でどの程度の効果があるのか・・・。まあ、言われたことは実施しておこう、あとでトラブルが発生した時に、やることはやってあるからと言い訳できそうだし。

てな具合で、バッテリ駆動で電力事情が厳しいにも関わらず1個積んでしまいました(反省~2)。

このFANは、周囲から賛否両論のままつい最近までついていましたが、私の一存で取り外しました。

数か月経た今でも問題が無いところをみると、やっぱり不要だったようです。

以降、更新中・・・